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  3. 被災地支援〜誰より身近な人を笑顔に〜

このたび能登地方を震源とする大規模地震により犠牲となられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を衷心よりお祈り申し上げます。

混乱の中で様々なことが起きています。どうか、今起きていることから目を背けないでください。

私は東京に住んでいます。幸い家族や家の中に被害はありませんでした。
私は防災の仕事をしていることもあり、揺れた直後からテレビやラジオ各局の緊急放送を聞き比べたり、SNSでの発信を駆け足で見て回っていました。

なかでもNHKのアナウンサーが厳しい口調で「今すぐ避難!」と叫ぶ様子はしばらく画面の前で観ていました。
それからアナウンサーは時折り届いた情報を読み上げるのですが、その時は厳しい語調と違い、流石アナウンサーという流暢さ。しかしそれを注意深く聞くと、その声は少し震えているように聞こえて……その冷静なアナウンスの中にある小さな振動に、彼女の対峙している重圧や使命が滲み出ているように感じ、私は泣きそうになりながらその呼びかけに感謝しました。

しかしこの呼びかけには不安を煽るなど否定的な意見もあり「物事をどう捉えるかは人によって全く違う」という当たり前のことをまざまざと感じました。(これは災害時に限ったことではなく、聞き手の状況はそれぞれ違う訳ですから、全ての情報が全ての人にとって最適にはならないことがよく分かります)

この日はNHKに限らず、1日中警告が飛び交い、被害状況の報告は今もなお続き、デマやトラブルなどの話も入り始めています。
このような押し寄せる情報に、不安で心が潰れそうになる方もおられると思います。

情報は自分で選ぶことができます。野菜の産地を選ぶように、自分の中に入れる情報は自分で意識的に選んでください。
この声は聞きたくないとか、このソースの文章なら読めるなど、まずはそんな感覚を頼りにするようなことで良いので、自分にフィットするチャンネルに合わせる意識をしてみてください。

不安を募らせるのは良いことではありませんが、現実から目を背けると重要なサインを見過ごします。
情報を遮断して、自分は大丈夫、ここは安心と言い聞かせると、それが正常性バイアスになり、瞬時の行動を妨げる可能性があります。

日本中安全な場所はどこにもありません。

震源地に近い地域では、まだ揺れる可能性も高い状況ですが、それ以前に次の災害は地球上のどこで起きるか分かりません。

災害に対して不安になることが出来る人は想像力が豊かです。それは危険予測能力であり生きる力です。

もし今夜避難することになったら、すぐに持ち出せる防災バッグはありますか?そのバックの中には持っていきたいものが入っていますか?家を出る時に靴はどれを履きますか?雨が降っていたらどうしますか?
ポイントは「今夜避難所に行くなら」で考えてみてください。

家の中を見回してみてください。今この瞬間大きな揺れがきたら倒れてきそうな棚はありませんか?キッチンに刃物が出しっぱなしになっていませんか?停電したらどうやって暖をとりますか?断水したら今家にある水で何日間過ごせそうですか?
ポイントは「今この瞬間に大きな揺れがきたら」で考えてみてください。

その想像力を使えばできることがあります。
不安のエネルギーを生きるためのアクションに変えてみてください。

防災対策には正解もゴールもありません。防災バッグを備えたらもう安心!とは言えないし、例え家族全員が1カ月生き延びるための備蓄を備えたとしても、安心と言い切ることはできません。

今ある環境で生き伸びるため、最終的に重要なものは自分の身に備えた適応力や応用力です。

それは、日々の暮らしの中で「生きる」ということに向き合い、今やるべきことや捨てるべきものを判断する作業を繰り返すことで磨かれていきます。

さらに地球の動きに敏感になってみると「なんだか今日は疲れやすいから家にいた方がいい気がする〜」と難を逃れたり、買い物へ行った時「ちょっと多めにラーメン買っておこうかな〜」とたまたまカゴに放り込んだラーメンが非常食になったり……。
無意識の領域で自分を守る力を発動させることができるようにもなります。

その為にどうしたら良いかといえば、私的には「キャンプに行くといいよ」となるのですが、これを話し始めると長くなり過ぎるので(笑)そこはまたの機会に……。

今すぐできる方法でお伝えすると

空を見る、風を感じる、植物に触れる、など。
自然に近づき、大切な人や物を思い浮かべてみてください。

あなたの大切な人は誰ですか?子ども?家族?そこにはちゃんと自分自身も入っていますか?
大切なものは何ですか?命より大切なものはありますか?

大切なものが分かったら、今すぐ抱きしめてください。

もしもの時だけではなく、毎日自分に大切なものを聞いて、毎日抱きしめてください。

 

少しスマホを手から離してお風呂にゆっくり入ったり、お茶を飲みながら推しの音楽を聴くのも良いし、私は犬と散歩に行くのが良い時間になっています。

テレビやSNSの向こうに映る被災地を想い「何か力になれることがないだろうか」と、いてもたってもいられない気持ちになっている方もいらっしゃるかもしれません。

なかには、被災地から遠く離れたところに住んでいたとしても

「苦しんでいる方がいらっしゃるのだから」と、何かを自粛しなければならないような気持ちになったり、「自分には何も出来ることがない」と無力感に襲われたり……。
さらには「自分が無傷であることさえ後ろめたい」と感じ、脅迫的な同調により体調を崩してしまう方もおられるかもしれません。

もし、被災地を想い辛い気持ちになっている方がいらっしゃったら、どうか「笑顔でいること」にご協力ください。

今日あなたがコンビニで買い物をした時に、店員さんに笑顔で「ありがとう」と伝えることで、その店員さんも笑顔になって、そのレジで買い物した人達も笑顔になって……

日本中に機嫌の良い人が増えたら物流がスムーズになり、被災地に物資が届きやすくなるかもしれません。義援金を送りたいと思う人も増えるかもしれませんね。

例えばそんな風に、笑顔がわらしべ長者のお話しみたいに連鎖するイメージをしてみてください。

もちろん、そんな気分にならない時に無理矢理笑う必要はありません。
被災地に想いを馳せて祈りを捧げたり、ゆっくり過ごして自分自身を内観するのも大切なことと思います。

ただ、自分に苦しみを与えることが正義や美徳ではありません。
明るく楽しく過ごすことを我慢する必要はありません。

1人でも多くの方が元気に過ごしていることが被災地支援に繋がります。

これからも辛いニュースが続くかもしれません。今あることから目を背けず、自分にとって必要な情報を聞き取れるようになりましょう。

そしてまずは、誰よりも身近な人「自分自身」が健やかでいられるように、あなたの心をあたため笑顔でいてください。

 

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この記事を書いた人

cammoc

cammoc

“キャンプのある暮らし”をコンセプトに映像制作やイベント監修などを手掛ける「CAMMOC(キャンモック)」